
マルチクロークとは何か知っていますか?間取りや収納術も紹介します
近年、家の中の収納スペースとして注目されている「マルチクローク」。しかし、「ファミリークローク」との違いや、実際の住宅でどのように活用できるか分からず、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。本記事では、新築はもちろん中古住宅やマンションまで、多様な住宅タイプを検討中の方に向けて、マルチクロークとファミリークロークの違い、効果的な使い方や間取りの工夫、さらに実生活に役立つ収納術まで、分かりやすく解説します。理想の住まいづくりのヒントが満載ですので、ぜひ最後までご覧ください。
マルチクロークとは何かとファミリークロークの基本的な違い
マルチクロークとは、リビングや廊下などからのアクセスが可能で、日常的に使う掃除機やストック品、衣類など様々な物をまとめて収納できる多目的な収納空間のことです。和室や余ったスペースを改装して設けられる場合が多く、生活動線の使いやすさを重視した造りが特徴です。例えば、廊下とリビングの両方から出入りできる「一番狭くて幅五百ミリの建具」を設けるなど、通気性や動線の工夫を含めて設計されています 。
一方、ファミリークロークとは、家族全員の衣類やバッグ、外出用品などをまとめて収納できる大容量の収納スペースであり、家事動線をスムーズにする役割に優れています。玄関近くや洗面所の近くに配置されることが多く、「玄関→ファミリークローク→洗面所」などの動線を意識した設計がなされています 。
これら二つの収納スペースの主な違いを以下の表にまとめました:

| 項目 | マルチクローク | ファミリークローク |
|---|---|---|
| 用途 | 生活用品・ストック品・衣類など多目的収納 | 家族共用の衣類・外出用品など |
| 動線 | リビングや廊下からアクセス可能、動線の柔軟性が高い | 玄関や洗面所と直結し、家事動線を重視 |
| 特徴 | 狭いスペースでも設置可能、通気性や見せ方にも配慮 | 大容量、可動棚で衣類など整理しやすい |
用途や収納したいものが多岐にわたる場合はマルチクロークを、家族全員の日常支度や衣類管理の効率化を優先する場合はファミリークロークを選ぶと効果的です。
間取りにおけるマルチクロークとファミリークロークの配置と使い方の工夫
間取りを考える際、マルチクローク(多目的収納)とファミリークローク(家族共用収納)を効果的に配置することで、動線の短縮や収納効率の向上が可能です。
まず、玄関や洗面所、リビングなどへのアクセスが良い位置に配置することで、帰宅時の動線をシンプルにできます。例えば、玄関からそのまま手を洗いに行ける洗面所へ続き、その途中にクロークを設ければ、外出着やバッグなどをスムーズに収納できます。この工夫により、家事導線全体の効率化が期待できます。
次に、ウォークイン型とウォークスルー型の選び方についてです。ウォークイン型は出入口が一つで壁面収納が豊富なため収納量が多く、着替えやプライバシーの確保もしやすい特長があります。一方、ウォークスルー型は2か所から出入りできるため、通路のように使え、動線が非常にスムーズになります。マルチクロークにもこの二つの型を応用することで、家族の使い勝手に応じた設計が可能です。
最後に、収納の実用性を高める工夫についてです。可動棚を設ければ高さや空間を柔軟に調整でき、ライフスタイルの変化にも対応できます。さらに、湿気やにおいを防ぐために換気窓や通気口を設けたり、扉に換気機能を持たせるなどの対策を行えば、衣類の保管状態を良好に保てます。特にクローゼットは湿気対策が重要とされているため、このような工夫は長く快適に使うために欠かせません。
以下に収納配置について表形式でまとめます。

| 配置の工夫 | 効果 |
|---|---|
| 玄関→クローク→洗面所 | 外出・帰宅動線がスムーズになり、収納と手洗いが近くなる |
| ウォークイン型かウォークスルー型か選ぶ | 収納量と動線の快適さ、プライバシー確保のバランスを調整可能 |
| 可動棚・換気対策の実装 | 収納の柔軟性と衣類の湿気防止による長期使用を支援 |
購入検討者向けの住宅タイプごと(新築・中古・注文・マンション)における導入の考え方
住宅購入をご検討されている皆さまに向けて、新築一戸建て・中古一戸建て・注文住宅・マンションそれぞれの住宅タイプ別に、マルチクローク(家族共用の収納スペース)の導入を検討する際のポイントを整理してご案内します。

| 住宅タイプ | 導入のメリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 新築一戸建て | 設計段階から動線やスペースを自由に組み込めるため、ランドリールームや玄関まわりとつなげて家事動線を大幅に改善できます。 | スペース確保のためにリビング等のパブリック空間が狭くなる可能性があるため、バランスに注意が必要です。 |
| 中古一戸建て/マンション(リフォーム・リノベ) | 既存スペースを活用し、玄関や廊下近くにマルチクロークを設けて、帰宅後すぐに収納できる動線が設けられ、生活を快適に改善できます。 | 構造上の制約があるため、通気や湿気対策、収納量との兼ね合いなど、導入前の設計確認が重要です。 |
| 注文住宅 | 自由設計だからこそ、ウォークイン型やウォークスルー型を選び、生活動線に合わせた配置や棚構成など、家族の使いやすさに応じた設計が可能です。 | ライフスタイルの変化に備え、プライバシー確保(思春期の子どもなど)や将来的な使い方の変更にも対応できる可変性のある設計が求められます。 |
各住宅タイプで共通して言えることは、マルチクロークを効果的に導入するには「動線の最適化」「十分な広さの確保」「湿気・換気・におい対策」「プライバシーの配慮」が欠かせない点です。設計やリフォームの際には、こうした要素を念頭に置いた上で、家族の暮らしや将来変わるライフスタイルにも対応できる計画を立てていただくことが、快適な家づくりへの第一歩となります。
収納術としての実践的テクニックと間取り提案のポイント
収納するものの特性に応じたゾーニングと棚配置の工夫について、以下の表にまとめてご紹介します。

| 収納対象 | 適した配置場所 | 工夫ポイント |
|---|---|---|
| 衣類(肌着・パジャマなど日常着) | 洗面・脱衣・洗濯室に隣接 | 洗う→干す→たたむ→仕舞うまでの動線を短くする設計(マルチWIC) |
| コート・カバン等の外出着 | 玄関に近いファミリークローク | 帰宅後すぐに収納できる動線設計 |
| 季節物・かさばる物 | 廊下や2階の収納スペース | デッドスペース活用や広さを確保して効率的に収納 |
(参考:住宅設計エスネルデザインのマルチWIC設計の考え方や、間取り例をもとに整理しました)
次に、可変性のある設計による長期的活用法についてご紹介します。可動棚を設けることで、収納物の種類や量の変化に応じて自由に高さを調整でき、将来の家族構成や持ち物の変化にも対応できます。特にリビング収納や階段下など汎用性の高い場所では、可変棚の導入が非常に有効です。これは、リビングクロークにおける可変設計の活用事例にも基づいています。
最後に、快適さを維持するための換気・湿気対策についてです。ファミリークロークやマルチWICでは、湿気やにおいがこもりやすいため、換気システムの導入や衣類乾燥除湿器の設置が望ましいです。また、壁に小窓を設けたり、消臭効果のある壁材を採用したりすることで、空気の流れと快適性を向上させることができます(グッドリビングのアドバイスを参考)。さらに、高気密住宅の環境では、熱交換型換気システムなどを採用すると、湿気対策と省エネの両立にもつながります。
このように、日常着と外出着など収納物ごとにゾーニングし、将来に備えた可変棚を活用し、併せて換気環境にも配慮した設計なら、マルチクロークを含む収納スペースを長く快適にお使いいただけます。
まとめ
マルチクロークとファミリークロークは、見た目や機能は似ているものの使い方や目的に明確な違いがあります。間取りや動線に合わせて最適な場所に設けることで、住まい全体の快適さや利便性が大きく高まります。収納術や換気対策など実用的な工夫も導入しやすく、新築や中古問わず住まいをより良い空間へと進化させます。それぞれの特徴を理解し、住まい方に合ったクロークを選ぶことが大切です。ご自身やご家族にとって最適な収納空間をつくる参考にしてください。