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相続した家の売却は空き家特例が有利?条件を満たして節税する方法

売却関連

伊藤 聡一郎

筆者 伊藤 聡一郎

不動産キャリア10年

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相続した家を売却するとき、譲渡所得税や住民税の負担をできるだけ抑えたいと考える方は多いのではないでしょうか。
その際に押さえておきたいのが、空き家特例と呼ばれる3,000万円特別控除などの税制優遇です。
ただし、この特例を利用するためには、家屋の条件や売却期限、売却価格など、細かな要件を満たす必要があります。
また、相続不動産の売却では、ほかの控除制度との比較や併用の可否も重要な検討ポイントになります。
この記事では、相続した家の売却で節税や控除を活用したい方に向けて、空き家特例の条件や注意点、手続きの進め方まで、分かりやすく解説していきます。

相続した家の売却と空き家特例の基礎知識

相続した家を売却すると、売却益には譲渡所得税と住民税がかかります。
譲渡所得は、売却価格から取得費や譲渡費用を差し引いて計算し、その金額に税率を乗じて税額を求めます。
相続で取得した家は、被相続人が購入した当時の取得費などを引き継いで計算する点が大きな特徴です。
このため、売却前に取得費や売却にかかった費用を整理しておくことが重要です。

相続した家が、亡くなった方の一人暮らしの住まいであり、その後空き家になっている場合には、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る3,000万円特別控除」を利用できる可能性があります。
この特例は、相続した空き家またはその敷地を、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに一定の条件を満たして売却したとき、譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける制度です。
適用期間は令和9年12月31日までとされており、期限のある措置です。
要件を満たせば、課税対象となる譲渡所得が大きく圧縮されるため、税負担を軽減できます。

ただし、この空き家特例は、建築時期や構造、売却時期や売却価格、相続後の利用状況など、細かな条件を満たす必要があります。
また、同じ3,000万円特別控除でも、自宅を売却した場合の制度など、ほかの優遇措置との関係も理解しておかなければなりません。
どの制度が利用できるかによって、最終的な税額や手取り額が大きく変わるため、全体像を把握しながら検討することが大切です。
まずは、相続した家の現状と売却の予定時期を整理し、どの特例の対象になり得るか確認するところから始めると安心です。

項目 通常売却時のポイント 空き家特例活用時のポイント
課税対象 譲渡所得の全額が対象 譲渡所得から最大3,000万円控除
売却期限 特別な期限の定めなし 相続開始から3年経過年末まで
適用期間 通常の譲渡所得課税 令和9年12月31日までの売却

空き家特例を使える相続した家の具体的な条件

空き家特例を受けるためには、まず家そのものが一定の条件を満たしている必要があります。
代表的な条件として、被相続人が一人で居住していたこと、区分所有建物でないこと、そして建築時期が昭和56年5月31日以前であることが挙げられます。
また、旧耐震基準で建てられた家屋である点を前提に、譲渡までに耐震改修を行うか、取壊して土地として売却することも重要な要件です。
このように、家屋の構造や登記の形態、建築時期を最初に確認することが、空き家特例の検討の出発点になります。

次に、相続から売却までの期間と譲渡価格に関する条件を押さえておくことが大切です。
相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日までに、相続した家屋または敷地を売却する必要があります。
さらに、売却代金の合計が1億円以下であることも必須条件であり、同じ家屋や敷地を複数人が分けて売却する場合や複数年にわたって売却する場合には、その代金を合算して判定します。
したがって、売却時期と価格の見込みを早めに整理し、期限内に条件を満たせるかどうかを検討することが重要です。

加えて、相続後の利用状況や売却相手に関する条件にも注意が必要です。
相続の時から譲渡の時まで、その家屋や敷地が事業用、貸付用、居住用として利用されていないことが求められます。
また、売却先は原則として第三者であり、親族間売買など実質的な財産移転とみなされる取引では特例の適用が認められない点も押さえておく必要があります。
このような利用状況や売却相手の条件を踏まえたうえで、相続後に一時的に居住したり貸し出したりしないよう計画的に進めることが、空き家特例を確実に活用するための鍵になります。

区分 主な条件 確認のポイント
家屋の要件 昭和56年5月31日以前建築、区分所有でない一戸建て 登記簿と建築年、構造の確認
期間と価格 相続から3年経過年末までに売却、譲渡価格1億円以下 売却スケジュールと総額の事前把握
利用状況等 相続後の居住・賃貸・事業利用なし、第三者への売却 相続後の使用履歴と相手方関係の確認

相続不動産の売却で知っておきたい主な税制優遇の選び方

相続した家を売却するときには、空き家特例だけでなく、いくつかの税制優遇を比較しながら検討することが大切です。
とくに、自宅を売った場合の3,000万円特別控除や、所有期間が長いときの軽減措置などは、空き家特例と適用条件や効果が異なります。
どの制度にも共通して、譲渡所得から一定額を控除したり、税率を下げたりする仕組みがあります。
まずは、それぞれの制度の対象となる不動産や、同時に使えない組み合わせがあることを整理しておくことが重要です。

次に、相続税と譲渡所得税の負担のつり合いを調整する制度として、取得費加算の特例があります。
これは、相続時に支払った相続税の一部を、譲渡所得の計算上「取得費」に加えることで、売却益を抑えられる可能性がある仕組みです。
一方で、取得費加算の特例は、空き家特例や3,000万円特別控除と同時に使えない場合があるため、どちらを選ぶ方が税負担の軽減につながるかを比較する必要があります。
相続税額や売却価格、譲渡費用の金額によって有利・不利が変わるため、事前の試算が欠かせません。

さらに、空き家特例とほかの特例は、多くの場合どれか1つしか選べないため、どの特例を適用すると最終的な税負担が最も少なくなるかを見極めることが求められます。
その際には、「売却益が大きい場合は3,000万円特別控除が有利になりやすい」「相続税を多く支払っている場合は取得費加算の特例が有利になりやすい」といった傾向を踏まえて判断することが役に立ちます。
加えて、保有期間や居住の有無など、各特例ごとの細かな要件も満たしているか確認しなければなりません。
複数の選択肢を並べて試算したうえで、最も節税効果が高い組み合わせを選ぶことが大切です。

特例名 主な対象と効果 検討時のポイント
空き家特例 相続した空き家の3,000万円控除 家屋要件と売却期限の確認
自宅3,000万円控除 居住用財産の譲渡所得控除 居住実態と所有期間の確認
取得費加算の特例 相続税の一部を取得費に加算 相続税額と売却益の試算

空き家特例を逃さないための売却・申告の進め方

空き家特例を確実に活用するためには、相続発生から売却、引渡し、確定申告までの流れを時系列で把握しておくことが大切です。
相続が発生したら、まず遺産分割や名義変更を行い、その後に売却活動と契約、引渡しの日程を調整します。
そして、売却した年の翌年に確定申告を行い、特例の適用を受けます。
この一連の流れを意識しておくと、空き家特例の適用期限である「相続から3年を経過する日の属する年の12月31日」までに手続きを終えやすくなります。

次に、売却前後の手続きと必要書類の準備を整理しておくことが重要です。
空き家特例の対象となるには、一定の耐震基準を満たすか、家屋を取壊して更地として譲渡するなどの要件があります。
また、令和6年以降の譲渡では、売買後であっても譲渡した年の翌年2月15日までに買主が耐震改修や取壊しを行った場合にも特例が認められる仕組みが導入されています。
これらに対応するため、被相続人居住用家屋等確認書の取得や、耐震改修・取壊しに関する契約書、工事完了を確認できる書類などを揃えておく必要があります。

さらに、節税効果を最大化するには、税理士や公的な相談窓口に早めに相談することが不可欠です。
相続発生後、遺産分割や不動産の利用方針を検討する段階から、空き家特例や取得費加算の特例などの使い分けを念頭においてシミュレーションしてもらうと安心です。
売却条件が固まり、売買契約を結ぶ前に相談しておくと、契約内容や引渡し時期を特例の期限に合わせやすくなります。
そのうえで、売却した年の確定申告時に必要書類が不足しないよう、チェックシートなどを参考にしながら準備を進めることが、相続不動産の売却で節税を最大化するポイントになります。

段階 主な内容 意識したいポイント
相続直後 名義変更・遺産分割協議 売却方針と特例活用の検討
売却前 耐震基準確認・取壊し検討 確認書や工事関連書類の準備
売却・申告 売買契約・引渡し・申告 空き家特例の期限と必要書類確認

まとめ

相続した家の売却では、空き家特例をはじめとした各種特例を理解しておくことで、譲渡所得税や住民税の負担を大きく抑えられます。
一方で、建築時期や構造、売却期限、利用状況など細かな条件が多く、自己判断だけでは適用可否の見極めが難しい制度でもあります。
当社では、相続不動産の状況を丁寧に整理し、空き家特例の適用可否や他の特例との比較・シミュレーションまでサポートします。
「うちの場合は使えるのか」「いつまでに売却すべきか」など、少しでも不安や疑問があれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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