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相続空き家の売却税金はどうなる?2024年の特例と控除の条件を解説

売却関連

伊藤 聡一郎

筆者 伊藤 聡一郎

不動産キャリア10年

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相続で引き継いだ空き家をそのままにしておくべきか、それとも売却して税金を抑えながら手放すべきか。
こうした悩みは、年々ルールが複雑になる中で、判断が難しくなっています。
とくに2024年以降は、相続空き家の売却に関する特例や控除の内容が変わり、節税のチャンスを逃さないための正確な理解が欠かせません。
本記事では、相続した空き家を売却したときにかかる税金の基本から、3,000万円特別控除などの特例、さらに2024年の改正ポイントまでをわかりやすく整理します。
自分たちのケースでどの特例が使えそうかイメージしながら読み進めていただくことで、損をしない相続不動産の売却判断に役立てていただければ幸いです。

2024年版・相続空き家売却の税金と全体像

相続した空き家を売却すると、「譲渡所得税」と「住民税」がかかります。
これらは売却代金そのものに課税されるのではなく、「譲渡所得」と呼ばれる利益部分に対して課税されます。
譲渡所得は、おおまかに「売却価格-取得費-譲渡費用」で計算され、そこへ税率を乗じて税額を求めます。
なお税率は、所有期間が長期か短期かによって変わる点が重要です。

譲渡所得税と住民税の税率は、所有期間が「短期」か「長期」かで区分されます。
一般的に、所有期間が5年以下の短期譲渡所得は合計税率が高く、5年超の長期譲渡所得は合計税率が低く抑えられます。
所有期間は、被相続人がその不動産を取得した日から通算して判定されるため、相続人が取得してからの年数だけでは判断できません。
この区分が、相続空き家の売却でどの程度税負担が生じるかを左右します。

相続した不動産を売却する場合、「実際に自分で住んでから売る」「空き家のまま売る」「建物を取り壊して更地として売る」といった選択肢があります。
自分の居住用として一定期間住んだうえで売却すれば、居住用財産の特例が検討できる場合があります。
一方で、空き家のまま、または更地にして売却する場合は、適用できる特例や必要となる手続が異なります。
どの形で売却するかによって、譲渡所得の計算方法や控除の可否が変わるため、あらかじめ整理しておくことが大切です。

項目 概要 税金への影響
譲渡所得 売却価格から取得費等控除 課税対象となる利益
所有期間 被相続人取得日から通算 長期短期の税率判定
取得費 購入代金や仲介手数料等 高いほど税負担軽減

相続空き家の3,000万円特別控除(空き家特例)の基本条件

相続した空き家を売却したときの3,000万円特別控除は、被相続人が1人で居住していた家屋や、その敷地の譲渡益から最大3,000万円まで差し引ける制度です。
対象となるのは、相続開始直前に被相続人以外に居住者がいなかったことや、相続開始の時点で一定の耐震基準を満たさない家屋など、細かな要件を満たす空き家とその敷地です。
また、相続後に家屋を取り壊して土地だけを売却する場合や、耐震リフォームを行ってから売却する場合も、条件を満たせば特例の対象となります。
このように、どのような家と土地が対象になるかを正しく理解することが、相続空き家売却の第一歩になります。

空き家特例を受けるためには、相続開始日から「3年以内の12月31日まで」に売却契約を結ぶことが必要です。
例えば、相続開始日が2021年6月1日の場合、2024年12月31日までに売買契約を締結していることが条件になります。
さらに、譲渡対価の額が1億円以下であることや、相続から譲渡までの間に事業用や賃貸用など別の用途に供していないことも重要な条件です。
これらの期間や金額の要件を見落としてしまうと、控除を受けられなくなるおそれがあるため、早めに売却スケジュールを検討することが大切です。

2024年1月1日以降に開始した相続については、相続人が3人以上いる場合、1人あたりの特別控除額が2,000万円に縮小される見直しが行われています。
これは、従来のように各相続人が3,000万円ずつ控除できるのではなく、一定の場合に控除額が抑えられる点に注意が必要ということです。
また、空き家特例による3,000万円特別控除と、自ら居住していた家を売却したときの3,000万円特別控除は、同じ年分の譲渡について重ねて適用することはできません。
どの物件でどの特例を使うかによって節税効果が変わるため、相続空き家の売却計画とあわせて、マイホームの売却予定がある場合は慎重に整理することが重要です。

確認項目 主な条件内容 注意したい点
対象となる空き家 被相続人の居住用家屋 相続開始時に単身居住
売却期限 相続開始から3年以内の12月31日 契約日ベースで判断
売却金額 譲渡対価1億円以下 超過すると特例不適用
控除額の上限 原則3,000万円 相続人3人以上は2,000万円
他の特例との関係 マイホーム特例と同年通算不可 どの物件で使うか要検討

相続不動産売却で併用検討したい取得費加算などの特例

相続した不動産を売却するときは、まず「取得費」がいくらになるかが、譲渡所得税や住民税の金額を左右します。
その際に重要となるのが、相続税の一部を取得費に加えることができる「取得費加算の特例」です。
相続税の申告を行い、一定の条件を満たして不動産を売却した場合には、この特例を使うことで課税される譲渡所得を減らせる可能性があります。
どの程度税負担が変わるのかを確認するためにも、相続税額と取得費の関係を早めに整理しておくことが大切です。

取得費加算の特例は、相続や遺贈で取得した財産について相続税の申告をした人が利用できる制度です。
対象となる財産を、相続税の申告期限の翌日から起算して3年以内に譲渡した場合、一定額の相続税を取得費として上乗せできます。
これにより、売却代金から差し引く取得費が増えるため、譲渡所得の金額が少なくなり、その分、譲渡所得税と住民税の負担を抑えられる仕組みです。
相続税を支払っているケースでは、この特例を検討するかどうかで、最終的な手取り額が変わることがあります。

一方で、相続した空き家を売却する際に利用が検討される「空き家の3,000万円特別控除」と取得費加算の特例は、同じ不動産について同時に適用することができません。
そのため、売却益の見込み額や相続税の負担額などを踏まえ、どちらを使うと有利になるかを比較検討することが重要です。
譲渡所得の計算では、所有期間が5年を超えるかどうかで税率が変わる長期・短期の区分も影響しますので、被相続人が取得した日から計算される所有期間も併せて確認する必要があります。
また、マイホームの3,000万円特別控除など他の特例との重複適用の可否も整理しながら、自身の状況に合う選択肢を検討することが大切です。

制度名 主な効果 検討のポイント
取得費加算の特例 相続税額を取得費に加算 相続税負担が大きい場合に有利
空き家3,000万円特別控除 譲渡所得から最大3,000万円控除 売却益が大きい場合に有利
長期・短期譲渡区分 所有期間により税率が変動 被相続人の取得日を要確認

2024年以降に相続空き家の節税メリットを最大化する進め方

まずは相続登記義務化の流れを踏まえて、名義を明確にしておくことが重要です。
登記が被相続人名義のままでは、空き家特例や取得費加算などの検討に進めず、売買契約自体も進行しにくくなります。
そのため、相続人全員の話し合いで分割内容を整理し、遺産分割協議書や戸籍関係書類を整えたうえで、相続登記の申請を行う流れを押さえておきます。
あわせて、被相続人がかつて取得した際の売買契約書や建築請負契約書、登記事項証明書なども早めに探し出して保管しておくと、後の譲渡所得計算がしやすくなります。

次に、空き家特例の「相続開始から3年以内の12月31日まで」という期限を意識して、全体のスケジュールを逆算して組み立てることが大切です。
具体的には、相続開始の年に相続登記と遺産分割を済ませ、その後に不動産会社への査定依頼や売却方針の検討、必要に応じた解体や耐震リフォームの要否確認などを行う流れになります。
売買契約から決済・引渡しまでには一定の期間を要するため、売却期限ぎりぎりでは買主候補探しが間に合わない可能性があります。
さらに、売却が完了した年の翌年に行う確定申告では、特例適用に必要な確認書類の手配や添付書類の準備が必要になりますので、余裕を持った準備が欠かせません。

また、将来の税負担や管理負担を見据えると、自分たちの家族構成や資産状況に応じた特例の選択や売却タイミングを検討することが大切です。
例えば、空き家特例と取得費加算の特例は同じ物件には併用できないため、譲渡益の大きさや相続税の納税状況に応じて、どちらを使う方が有利かを比較する必要があります。
さらに、他に居住用不動産の売却を検討している場合には、マイホームの3,000万円特別控除との関係も含めて全体最適を考えることが重要です。
こうした比較や将来の相続まで見据えた検討は複雑になりやすいため、税務と不動産の両面に詳しい専門家へ早めに相談し、自分たちに適した進め方を整理しておくと安心です。

段階 主な手続き 意識したいポイント
相続直後の段階 相続人確定と登記名義整理 遺産分割協議と相続登記の完了
売却準備の段階 書類収集と空き家特例の確認 売却期限と必要書類の洗い出し
売却実行の段階 売買契約から引渡し完了 適用特例の選択と確定申告準備

まとめ

相続した空き家の売却は、税金や特例を理解して進めることで、手取り額が大きく変わります。
2024年以降は空き家特例の条件や控除額が変わっているため、「いつまでに」「いくらで」売るかの見極めが重要です。
また、取得費加算など他の特例との比較や、長期・短期譲渡の判定も欠かせません。
「自分の場合はどの特例が有利か」「今売るべきか迷う」という方は、一度当社へご相談ください。
相続登記から売却、確定申告までを見据えて、あなたの状況に合わせた進め方をご提案いたします。

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